まんが:においくんが消えるまで「そもそも、においって、
なんだ?」
エチケットの語源はフランス語だそうだ。宮中での礼儀作法を示す「札」を、そう呼んだことから転じて現在の意味につながっている。受け取る人によって印象はことなるけれど、日本大百科全書には「要は、他人と接するときにもつ優しさと感性の問題」と書いてある。
フランスと聞くと、香りが大好きなお国柄ということも思い出す。とかく「香り」や「におい」はエチケットとは切っても切れない。誰かを部屋に招くのも、身につけるものも、ふだんの振るまいでも、ふっ……と鼻が感じて眉をひそめたときほど、私たちはそのことを思いのほか覚えているものだし、案外忘れないものだったりもする。
そもそも「におい」とは何か?
みんなが気にする、「におい」のエチケット。ただ、その「におい」はどのように発生して、どうすれば消えてくれるのだろうか。そこで今回は、ホテルやタクシーなどと協力して業務用消臭剤や脱臭剤の研究を続け、2016年の春には家庭用の「ノンスメル清水香」を発売した白元アース株式会社に、その理由と対処法を聞いてみた。
そもそも私たちが感じる「におい」とは何か。世の中には、においのある物質は数十万種類あるといわれ、その物質を鼻の奥にある「嗅細胞」がキャッチする。嗅細胞には400種類もの「嗅覚受容体」が備わっており、におい物質の種類や濃度が変わると、応答する嗅覚受容体の組み合わせも変わるため、違うにおいとして感じるそうだ。
……いきなり漢字が増えてしまった。からだや自然界の「そもそも」を書こうとするとこんなふうになりがちだから、今回は「消したいイヤなにおい=においくん」というキャラクターの一生に見立てて、においのエチケットについて追ってみることにしよう。
においくん、誕生。
わるそうなやつと、仲良くする
あるところに「においくん」が生まれた。彼が生まれたのは夏で、そこはベッドの上だった。寝ていた家主の汗や皮脂がついた寝具は、温度も湿度も高い夏ということもあって、微生物や雑菌が増えるのにはもってこいの場所だったのだ。
彼らによって「においくん」はすくすくと育っていった。彼の性分は生まれつき、ちょっと厄介だった。平たく言うと、主張がつよくてちょっぴりウザいヤツなのだ。
「においくん」の仲間は、家中のあちらこちらにいた。布団やタオルケットといった寝具、たまった洗濯物、使ったままのバスマット……あらゆるところで菌が増え、「においくん」は続々と生まれていた。この夏は、どうもわるい夏になりそうな予感がした。
においくん、不敵に笑う
だが、家主も黙ってはいなかった。どうやら恋人が訪ねてくるらしく、かたっぱしから洗濯をはじめた。天日に干せるものは干し、部屋という部屋の窓をあけた。流れる汗もいとわず家主が励んだおかげで、空気はかなりすっきりしたようだった。しかし、暑さにたえかねて窓をしめたとたんに、またもにおいが気になり始めた。
「においくん」はそんな家主を、空中にただよいながら、にやにやと見ていた。「においくん」と仲間たちは家主が洗濯をする間にも部屋じゅうをふわふわと舞い、カーテンやソファにも新たな居場所を見つけていく。家主が仕事で着ていたスーツやジャケットからも、まだまだ仲間が増えていた。
家主はたまらず、ある道具を取り出す。「芳香剤」と書かれたそれは、部屋にせっけんのような香りを振りまいた。「においくん」はげらげらと笑った。どれほど香りをふりまこうとも、「においくん」と仲間たちは消えることはないからだ。
思いあぐねた家主はスマートフォンを取り出すと、どこかと連絡を取りはじめた。財布を手に出て行く家主を見送りながら、「においくん」たちは気ままに過ごしていた。だが、彼らにとっては、この時間が残された最後の安らぎとなってしまった……。
さよなら、においくん。
君のことは忘れない(たぶん)
帰宅した家主の両手には白元アースの「ノンスメル清水香」があった。家主は再び窓を開け、まるでアメリカのドラマの警官みたいに、ためらわず「ノンスメル清水香」を噴射していく。
カーテンやソファといった部屋にある布地のもの、ジャケットや上着といった衣類、さらには部屋の空間にまで。速乾性のスプレーによって次々に消えていく仲間たちを見て、「においくん」は自らの危機をすぐに感じとった。
家主が手にした「ノンスメル清水香」は消臭剤だ。芳香剤とはことなり、イヤなにおいを化学反応によって緩和・除去する働きをする。「においくん」が慌ててまわりに目を配ると、「ノンスメル清水香」の独自処方である消臭液に、仲間たちが取り込まれて溶けていくのが見えた。さらに、仲間たちは消臭成分によって「においがしないくん」に姿を変えられているようだった。
「においくん」はそんな仲間たちの姿から目をそらすように、わずかな風に乗り、空中をとびまわった。家主にバレないような安住の地を見つけようと、必死だった。しかし、カーテンのすきまに飛び込もうとしたそのとき、「ノンスメル清水香」が吹き付けられた。「においくん」はきれいさっぱりと消え、部屋には心地よい空気だけが残った……。
「ノンスメル清水香」
でノーにおいくんライフを
……ということで、「においくん」が生まれ、消えるまでをストーリー仕立てで追ってみた。このストーリーの4つのポイントを、かんたんにおさらいしてみよう。
- 夏は温度も湿度も高く、菌の繁殖が原因となるにおいが強くなる季節である
- 気になる部屋のにおいは空間だけでなく、ベッドや枕といった寝具、カーテンやソファなどのファブリック類、着ていたスーツやジャケットからもただよってくる
- 芳香剤と消臭剤は異なるので、用途によって使い分けることが大切
- 消臭剤は気になる箇所にまんべんなく使う
今回、「においくん」にも登場した「ノンスメル清水香」は、もともと業務用として作られた後、家庭のあらゆる悪臭に対抗するバージョンアップを重ね、2016年春に発売された商品だ。プロの現場で愛用されてきた信頼性に加え、他とは異なる独自処方の成分がにおいに早く、良く効いてくれる。
におい物質を溶かしやすいアルコールを高濃度で配合しており、布や繊維に染み付いたにおい物質を効率良く溶け込み、消臭できるのだ。洗剤のようなべたつきがなく、速乾性もあるため、においが気になったらいつでも使える。上着類は帰宅後にすぐスプレーしておくのも効果的。数日たったにおいにも効くので、掃除の一環として組み込むといいだろう。速乾性ではあるが、スプレー後にしっかり乾燥できる場所で使うのがより望ましいそう。
そして実は、においには「慣れてしまう」という厄介さがある。冒頭でも引いたように、エチケットは「他人と接するときにもつ優しさと感性の問題」だからこそ、部屋や衣類のにおいに気を払うのは、自分を高めるための心づかいのひとつ、ともいえる。
あなたの部屋にも、きっと、ちょっとウザいにおいくんがいるはず。今日からは「ノンスメル清水香」で、ノーにおいくんライフを送ろう。
ノンスメル清水香[白元アース]
文/長谷川賢人
イラスト・アニメーション/que
製品パッケージは執筆当時のものです。